da.planningの提案

<暮らす人・使う人の発想を大切に>

 私たちが、建物をデザインしていく上でのテーマは「使う人の発想を大切にする」ことです。住宅を例にとると、それをデザインするのは私たち建築家ですが、長年にわたりそこで暮らしてゆくのは建て主です。しかし末永く、心地よく過ごすことができるのを願うことは我々と建て主の共通の想いでもあります。それを実現するために大切なのが、建築家と建て主との情報の共有化であると考えています。

例えば我々の設計事務所では、設計作業にとりかかる前に依頼者に「インタビューシート」への記入をお願いしています。このA4版で10ページ、70項目に及ぶ「インタビューシート」に記入していただくことで、ご家族の様々な要望や設計与条件などをくみとり、その後のコミュニケーションによる情報や意見の交換を重ねながらその住まい手特有の快適な空間構成をデザインすることができるのです。住まい手側にもいろいろと考えていただく必要があり、手間がかかるかもしれませんが、こういったプロセスを経て出来上がった作品はお互いにとって愛着のあるものになると思います。

<設計のスタンス>・・・行間を埋めるプロセス

情報の共有化を進めていくにあたり、設計の過程でいろいろと提案や問題提起をさせていただきます。

初回プレゼンテーション時には、配置・平面図、立面図に加えて「ボリューム模型」を提示します。建物のおおまかなプロポーションを見ていただくことで、図面と合わせて今後の情報のやりとりのベースになります。

基本設計には、収納計画案を提示します。これは、部屋のどの部分にどういったものを収納していくかということを具体的にイメージしていただくための資料で、この段階で現在所有されている物の取捨選択や、今後購入するものの検討、家族間での収納に関する情報共有などを行い、収納に対する考え方のイメージを醸成させていきます。すっきりと快適に生活していく上でのベースになるやりとりです。

さらに設計が進んだ際に、より具体的に建物をイメージしていただくために建物の具体的形状や間取り、窓の位置等がわかる「1/100、1/50模型」を作成します。これによって建物のイメージが更に具体化されて、外構計画も含めた全体計画もイメージしていただきます。

この後に情報の取りまとめの成果物として実施設計業務へと移行します。実施設計図面は建物規模にもよりますが、住宅の場合概ね4~50枚程度の図面で構成され、これまでの情報にやりとりの集大成となります。内容を確認していただいた後に建設業者に対しての見積用図面としても使用します。

このようなやりとりを、情報の「行間を埋める」プロセスとして楽しんでいただければ、と考えています。

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1/100模型の例

1/100模型の例

 

内観イメージ例

リフォーム内観イメージ例

<自然素材のすすめ>

歴史的建築物において、使用する材料には例外なく自然素材が使われており、我々にもなじみの深い素材です。つい最近まで私たちはこのような素材に囲まれて生活してきたわけですから、こういった自然素材を少しでも生活の中に取り入れることは心理的・生理的、また環境負荷に対しても非常に合理的であると思います。また、木材についてはCO2の固定化という面においても注目されています。建設地や建物の規模により法的な規制もありますが、木材・石・土などの素材にトライしてみることをお勧めします。

■外壁に木材を使う

防火・準防火地域や法23条のかかる地域などでは一定の制約がありますが、防火処理した木材や、下地との組み合わせにより認定を取得した物もあり、樹種や張り方もある程度選択することができます。写真の建物(うちの事務所です)は、2階部分にベベルサイディング(下見板)、1階部分にはチャンネルサイディング(相じゃくり板)を使用し、木材保護塗料で仕上げています。市販のサイディング材では出せない素材感と陰影が気に行っています。工業製品ではありませんので廃番がなく、部分的な補修も下地の防水等に気を付ければDIYでも大丈夫です(ただし自己責任になりますが)。

 

ディーエープランニング事務所外観

 

 

■塗り壁

職人さんが手作業で仕上げていきますので、温かみのある素朴な仕上がりが特徴です。吸放湿性に優れた素材が多く、室内の湿度の急激な変化を抑制する働きがあります。ひび割れが気になるところですが、樹脂を調合したひび割れしにくい材料も流通しています(吸放湿性能は低くなります)。既調合品の場合は下地処理を適切に行えばDIYでも施工が可能です。写真は施主ご一家の手形で、記念にと残されました。現地でつくり上げる素材ならではの魅力的な楽しみ方ですね。

 

塗り壁に残した手形

■床の木材

季節により素材の収縮があり、ワックスがけなど定期的な手入れが必要ではありますが、年々味が出てくる素材です。樹種も様々で、杉、ひのき、パインなどの針葉樹、オーク、バーチ、チークなどの広葉樹などがあり、材料としては針葉樹は軽くてやわらかく、広葉樹はかたくて重い物が多いようです。見た目については、素材の色にもよりますが針葉樹は一般的に柔らかいイメージ、広葉樹は重厚なイメージを感じることが多いようです。針葉樹は比較的柔らかいのでへこみキズ等が付きやすいのですが、広葉樹に比べて木材中の空気の含有量が多いため断熱性能は優れています。設計する際の樹種の選定については、建物のイメージや住まい手の希望、コストなどを見ながら決定していきます。右上の住まいには床にパインを、右下の住まいにはムニンガという広葉樹を使用しています。印象がずいぶん違うのがお分かりいただけると思います。

 

パインの床材

ムニンガの床材

■壁・天井の木材

 内装の壁や天井に使用する木材は、軽くて加工性のよい針葉樹を使用することが多いです。その他に加工品として仕上げ面に化粧材を貼った化粧合板や、木材のチップを固めて板状にしたOSB合板という素材もあります。右上の写真のお宅には、床にパイン材のフローリング、天井にOSB合板に着色した物を使用しました、OSB合板に着色したことで、素材感を感じながらも全体的に明るく、さわやかなイメージに仕上がっています。

右下の写真のお宅には、浴室の壁と天井に米杉を使用しました。木材を浴室に使用する場合は、日々の手入れ(掃除、乾燥など)が必要ですが、その手間を割り引いてもとても魅力的で快適な空間に仕上がっていると思います。

  OSB合板の天井

米杉を使った浴室

■石

耐火性と蓄熱性に優れていますので、薪ストーブの廻りによく使用します。写真のお宅では、大谷石を薪ストーブの後ろに配置しました。

 

 

 

  大谷石の使用例